岩手・宮城内陸地震被害・復旧を視察

「地域は地域で守る」地域の防災は市民と行政の協働で

栗原市役所には災害当時の写真が展示されていた
栗原市役所には災害当時の写真が展示されていた
建設委員会行政視察2日目、8月31日は、岩手県栗原市役所を訪ね2008年年6月14日に発生した「岩手・宮城内陸地震」の 震災後の対応についてお話を伺いました。

栗原市 は人口:77,340人、面積は804.93平方キロ(2010年4月1日現在)
2005年4月に栗原郡内10町村が合併し誕生した新しい市で、宮城県の北部西側に位置し、面積も県内最大で、約8割近くが森林や原野、田、畑で構成されています。
2008年6月14日午前8時43分頃、岩手県と宮城県との県境付近の栗駒山直下を震源とするマグニチュード7.2、震度6強の「岩手・宮城内陸地震」が発生しました。
栗原市の被災状況は、人的被害が197人(死者13人、行方不明者4人、負傷者等180人)、建物被害が1,569棟(全壊27棟、大規模半壊16棟、半壊112棟、一部損壊1,414棟)、道路の損壊が572箇所などでした。
地震の被害は、栗原市の北西部の花山地区、栗駒地区の山間2地区に集中し、大規模な地滑りや土石流の発生、山地崩壊による河道閉塞、7つの土砂ダムの発生、道路の寸断による孤立集落の発生など山間地特有の被害が多発し、山容が大きく変貌するなどのつめ跡を残しました。
被災地域が主に2地区に限られていたため、人、物などの資源が集中でき、職員の連携はもちろん、国、県、自衛隊、警察、消防、県内外からのボランティアなどの支援、協力により、現在は順調に復旧、復興に向けて進んでいるということです。

大きな災害が発生した場合、復旧までに多くの期間、人、物、金などが必要となることを再認識しました。また避難所の運営については、災害は突然発生するため、日ごろの訓練が大切であること。避難者の感染症や食中毒の予防、心のケアなどの健康管理に留意し、避難所生活が長期化した場合は、発災当初、2週間程度、それ以降など、経過日数によりニーズが変化するため、これに合った対応、支援に心がけるとともに自立支援の取り組みも大切であると感じました。また、山間部で近隣の人間関係は希薄ではなく、被害の確認をする上で地域の情報が非常に役立ったいう話が印象的でした。

政府は今後30年以内にマグニチュード7程度の地震の発生率は70%程度と予測しています。品川区の首都直下型地震による被害想定は、死者185人、全壊家屋14,678棟、消失面積2.54平方キロ、帰宅困難者157,478人、避難所生活者102,299人とされています。

建造物の耐震化などの減災対策は最優先課題ですが、旧耐震基準でつくられた住宅・建造物の危うさが問題となっており、品川区は、耐震化率62.3%の現状をこの10年間で90%に高めるとし、目標を掲げました。確かにハード面の対策は急務です。しかし、これらの施策が直ちに実行できるわけがないのも実情です。「地域は地域で守る」事が阪神淡路大震災、岩手・宮城内陸地震での一番の教訓であったことを改めて認識し、ソフト面での対策を市民参加で見直すことが急がれます。
阪神淡路大震災では、一番に救援活動に向かったのは大半が地域の人たち、ボランティアNPOの力のよっており、日頃から市民とどう連携するかは、自治体の必須課題といえるのではないでしょうか。<いちかわ・かずこ>

岩手県盛岡市の景観まちづくりを視察しました

“お城”を中心としたまちづくりに市民の想いを感じる

盛岡城跡公園からの景観
盛岡城跡公園からの景観
8月30日、岩手県盛岡市の景観まちづくりを視察しました
盛岡市の面積は886,47平方キロ、人口は30万人弱。品川区の面積は22,72平方キロ、人口は34万8千人。23区の総面積は621平方キロですから、面積は23区より広く、人口は品川区より5万人少ない自治体です。
宮沢賢治、石川啄木を生んだ町であり、中津川、雫石川と北上川が合流し、大きな北上川となる水の街でもあります。更に、遠くには岩手山を臨みます。
この広大な地域を①市街地景観地域、②田園・丘陵景観地域、③山地景観地域、と分けて景観形成にあたっています。

盛岡市は1986年に都市景観形成建築指導要領を作るなど早くから景観の形成について取り組んでいます。盛岡市のまちづくりの現状など市の担当者から説明を受け、盛岡城跡公園より岩手山を望む景観を案内していただきました。

この「盛岡の景観の特徴」を5つ掲げています。
●岩手山や姫神山などの周囲の山々は、自然景観と眺望景観に優れている。
●北上川や中津川などの市内を流れる河川は、潤いのある水と緑の景観に優れている。
●盛岡城跡や町屋などの歴史的な景観が継承され、城下町として落ち着きがある。
●幹線街路は、町並みに近代的な印象を与え、旧街道沿いでは城下町の名残がある。
●市民に親しまれる景観資産、樹木、まちなみ等は、「やわらかい」雰囲気を醸し出している。そして計画の目標像を「潤いと彩りのあるまちの風景づくり」として取り組んでいます。

特徴的な取り組みは、城跡公園から岩手山を臨む地域を「眺望景観保全地域」と指定し眺望を取り戻す取り組みです。また、「歴史的景観地域」を指定し、歴史的佇まいと調和した景観誘導を推進していることです。

現状は、1965年の高層ビルの建築により盛岡城跡公園から岩手山が臨めないのですが、平成21年3月に定めた「盛岡市景観条例」により、既存不適格建物として、高さを制限し、眺望を復活させる取り組みをしています。

まちなみ景観プロジェクトとしては、盛岡町家・鉈屋町界隈の保存活用事業の話をうかがいました。ここでは、既に決まっていた都市計画道路を変更して、まちなみを保存する道を選んだということです。既に決定した都市計画道路の中止は普通はない話です。これは景観条例などがない時代から、景観ガイドラインを設けて、条例によらずに市内からの岩手山の眺めを守ってきた市民だからこそできたのではないかと思いました。

街をみて、「皆で街をきれいにしよう」という取り組みが、伝わってきました。
品川区も、7月15日に「景観行政団体」となり、今まさに景観計画(案)がパブリックコメントにかかってるところです。地域に住む市民が「自分たちのまち」の姿を決めることができるという実例に触れ、おおいに参考になり励まされました。<いちかわ・かずこ>

上は盛岡城跡公園から岩手山の方向を写した写真。この日は岩手山は良く見えませんでしたが、1965年に建てられたビルにより岩手山がさえぎられています。
2009年3月に定めた「盛岡市景観条例」により、既存不適格建物として、高さを制限し、眺望を復活させる取り組みをしているので、建て替えの際に実現すると説明を聞きました。

2011年度議会費への予算要望をしました

市民へ、情報公開をすすめることを第一義に!

宍道湖から見た夏雲。暑い夏はいつ去るのでしょう?
宍道湖から見た夏雲。暑い夏はいつ去るのでしょう?
2011年度「議会費」の予算へ各会派から要望が出されました。
生活者ネットワークは、市民へ情報公開をすすめることを第一義に、以下の要望を提案しました。

1.市民が誰でも傍聴できるよう、議場のバリアフリー化をすすめる。幼児連れでも安心して傍聴できるよう、傍聴席に防音室を設ける。
2.情報公開の開示手数料は無料にし、コピーの実費のみとする。
3.予算・決算書を見やすく改定し、図書館での閲覧のみでなく、貸し出し制度を導入する。
4.CATV放送およびインターネット配信での一般質問は、再質問を含めすべて発言は放映する。
5.永年在職議員表彰は廃止する。
6.海外調査費を廃止し、緊急且つ重要課題が発生した場合は補正予算を組み、対応する。
7.「議事録のインターネット公開は閉会後おおむね2ヵ月後」を短縮する。

今年3月には、議場に昇降機の設置と車椅子で利用できる席が4つつくられ、議場のバリアフリーはちょっとすすみました。
乳幼児連れもが安心して傍聴できる環境整備を提案しました。
一般質問を行う議員の質問内容の事前公表もすすみました。また、第三庁舎にある区政資料コーナーには、介護保険制度推進委員会資料などに加え、次世代育成支援行動計画策定委員会や地球温暖化防止地域行動計画策定等、会議に提供された資料および議事録が配置され、閲覧は自由になりました。しかし、情報公開請求は手数料をかかります。情報公開の開示手数料は無料にし、コピーの実費のみとすることを提案しました。<いちかわ・かずこ>

ローカルマニフェストを市民がつくろう!

思いや感じている不安、疑問、提案などをお寄せください

ローカルマニフェストづくりとは…「誰もが安心して暮らせるまち品川区」をつくるため、あらゆる立場を超えて多くの市民のみなさんの意見を集約し広く共有できるマニフェスト(市政政策)をつくる運動です。

品川・生活者ネットワークでは、これまでずっと「一言提案運動」を実施して、私たち一人ひとりの思いや感じている不安、疑問、提案などを集めて、関心のある項目ごとにまとめ、政策につなげてきました。
そしてその政策を提示して「この政策を実現するために、議会に送ってください」と訴えます。品川区は10月に首長選挙があります。首長選の投票率はまだしも、区議会議員選挙の投票率はいずこも低い現実があります。議員の役割や仕事ぶりがわからず、個々の顔も見えないからではないでしょうか。政策もないに等しく、あいまいな民意で議員が選ばれていくのが現実・・・?

これまで行った生活者ネットの一声提案運動の中から以下のことが品川区で実現しています。
★自転車優先道のモデル実施が実現。踏み切りに歩道が色分けされた
★高齢者・障がい者世帯に家具転倒防止器具設置助成が実現
★公共施設に雨水タンク設置、個人住宅に助成制度創設
★地域ネコの去勢・避妊手術費用助成制度が実現

現在、品川地域協議会でも声を集めています。
8月18日は、戸越公園での生き物環境調査を終了後、公園内でくつろぐ方たちや通行する方たちに市民マニフェストつくりへの呼びかけをして、予想以上にたくさんの方に関心を持っていただけました。

課題は、自分たちであるいは運動グループの機能を使って解決できること、区政レベルで解決すべきこと、東京都あるいは国政の課題に仕分け、政策提案や予算要望にまとめていきます。

あなたも市民マニフェストづくりに参加しませんか?電話・FAX・メールであなたの声をお寄せください。<いちかわ・かずこ>

「生物多様性」を次の世代に残すために

戸越公園で「生き物環境調査」を行いました!

池を望みながら調査の説明を聞きました
池を望みながら調査の説明を聞きました
自分たちが住む街にどんな生き物がいるのかしら? 環境の見直しは身近な自然を知ることから・・・と、38度と猛暑の記録を更新した8月18日に、生活クラブまち港.品川宿が主催した「戸越公園生き物環境調査活動」へ参加しました。

生活クラブ生協では、2004年から町田や世田谷、国分寺で生き物環境調査を始めていて、指標種となる生き物50種が選定され、ガイドブックも作成されています。
世田谷区から来ていただいた生き物を特定できる人「生き物マイスター」のお二人より調査活動の説明を聞き、池の周辺を歩きながら植物・昆虫・鳥類などを観察し、目にしたもの耳にしたものをどんどん書き留めていきます。
そして、最後に参加者で見つけた生き物を発表します。

1時間ほど観察でしたが、戸越公園池の周辺では指標種では、カラスビシャク、イヌビエ、シオアラトンボ、ショウリョウバッタ、クマバチ、クロアゲハ、トカゲ、が見つかりました。
この日は目しませんでしたが、ヒグラシ、カルガモ、シジュウカラは見かけるという近所の方から報告もありました。
指標種以外では、
(植物)…ヒユ、ツククサ
(昆虫)…ヤマトシジミ、アオスジzゲハ、モンシロチョウ、ギンヤンマ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ギンメシゴミグモ、ツマグロアゲハ、カナブン、ミンミンゼミ、アオスジアゲハ
(鳥類)…シジュウカラ、スズメ
(池では)…メダカ、コイ、ザリガニ、クサガメが見られました。飼いきれず池に放たれたのか外来種のミシシッピーアカミミガメもみかけました。

生き物環境調査では、その土地にどんな生物が生息しているか定点観測をし、データを蓄積していきます。生き物の生息状況は環境に影響されるため、その土地の自然の豊かさを把握するめやすになるので今後も継続していかれればと思います。。
都会に住む自分たちの環境を見つめなおす貴重な体験となった一日でした。

今年10月、名古屋市で2つの国際会議「生物多様性条約第10回締約国会議/カルタヘナ議定書第5回締約国会議」が開催されます。責任と修復のルールづくりの他、遺伝資源から生じる利益を先進国が独占している現状を改め、その配分の国際ルールをつくる、など三つの焦点がありますが、議長国となる日本政府の動き次第で失敗する可能性もあります。世界の市民の力を集めて、生物多様性を守るための国際合意を築いていかなければなりません<いちかわ・かずこ>

豊田直己写真展「未来を紡ぐ、子どもたちの願い」をみて

現実を見つめ次の希望の一歩へ、写真展ぜひおいでください

フォトジャーナリスト豊田直巳さんの写真展、「未来を紡ぐ、子どもたちの願い」を観ました。主催は、「奪わない食・共に生きる地域」をテーマに活動を展開する生活クラブ生協で、会場は世田谷区経堂です。
生活クラブ第5次長期計画のテーマは「奪わない食・共に生きる地域(まち)」。食べる側にある私たちが、生産や流通の問題も共に考え、そこに関わるすべての人と共に生きていく暮らしのあり方をめざしています。より多くの人にこのテーマを伝え、共に考えていきたいと、8月2日〜7日に「平和・未来・子ども」を考える豊田直己写真展を開催しました。
    
パレスチナではイスラエル軍によって生活圏や農地が分断され、家族、親戚が離れ離れの生活を余儀なくされています。スマトラ沖地震で大津波が襲ったアチェの街にも子どもの笑顔はあり、イラク戦争では地雷で多くの大人が・・・友だちが傷ついていいます。
 戦争の一番の被害者はやっぱり子どもたちです。少しでも戦争の惨禍を減らせればという豊田直巳さんの願いが写真に写る子どもたちの表情によく表れています。
 こんな不幸な状況の子どもたちにも、先進国といわれてる国で生きる私たちと同じように明日が来きます。戦争とは無縁の社会にいると、世界で起きている戦争や紛争か身近なものとして実感できない現状があります。水問題や、気候変動、食料問題、紛争は決して遠くのことではなく、悲惨な現実から決して目をそらせてはいけない・・・そんな気づきの入り口に立たせてもらえた写真展でした。
 平和の中で暮らす日本の子どもたちに、世界の子どもたちの現状をしっかり見つめる機会を与える、それが私たち大人のつとめだということを改めて感じました。<いちかわ・かずこ>

国連・子どもの権利委員会が勧告

日本で子どもの権利条約の実現に生かすためには

「国連・子ども(児童)の権利条約と日本〜日本に対する第3回総括所見(勧告)を生かす〜」と題し、今後の日本での子どもの権利条約の実現に生かすための国会政府関係者と議員と市民の学習会が7月29日、新しくなった参議院会館で行われ、一市民として参加しました。
2010年5月27・28日に第3回子どもの権利条約日本審査(審査は5年ごとに実施され、今回が3回目となります)が、ジュネーブ国連子どもの権利委員会で行われ、6月11日に総括所見(勧告)が出されました。
今回の勧告の最大の特徴として、子どもの貧困・格差および家庭環境の問題に焦点があてられたという報告がありました。子どもの成長の場として、家庭の重要性、家庭の機能の崩壊について国連が言及したことの意味はきわめて大きいということでした。

この日、法務省、内閣府、厚労省、文科省、防衛省より出席がありました。この所見をどのように扱おうとしているのか、実施にまわす為の方策として何を考えているのかなど、いずれの省庁からもピンと来る発言がなかったのは縦割りの弊害というのか・・・残念でした。

日本が子どもの権利条約を批准し15年が経ちますが、子どもの権利に関する条例を制定した自治体は全国でまだ20に留まり、子どもの権利の保障は置き去りのまま今日に至っています。
日本の子どもたちは不登校やいじめなど多くの問題を抱えており、虐待などおとなからの人権侵害も後を絶を絶ちません。
第3回総括所見で指摘されたように、これまでの日本政府は2回の総括所見に対して誠実に回答しているとはいえないし、実際に多くを実施していないと見られています。
第3回の総括所見も同じことにならないように、政府は国会議員・市民(NGO)とともに総括所見のフォローアップシステムを構築してほしいと思いました。<いちかわ・かずこ>

「居場所」で人がつながり、悩みや課題が解決していく

戸塚区ドリームハイツ住民主体のまちづくりを視察

昼食を頂きながら、お話を伺いました
昼食を頂きながら、お話を伺いました
 7月30日、横浜市戸塚区にある2300世帯のドリームハイツという団地の中で活動している、カフェタイプの居場所今年で5年目を迎える「ふらっとステーション・ドリーム」に伺い、立ち上げや運営の仕方について主催者のお一人である島津艶子さんよりお話を聞きました。
 品川区でも八潮南小学校を改修し、区民活動交流施設が来年2月にオープンする予定です。この中で区との協働事業でコミュニティカフェの運営される方たちも一緒に参加しました。

 ドリームハイツは1972年より入居が始まり、当時は陸の孤島と呼ばれ、店舗・医療・福祉施設がほとんどなく、不便さを改善するために、足りないものを住民自らが力を合わせ作り出してきました。
 高齢化の流れはここも一緒で、現在、人口約5000人の内、20%が独居、30%が高齢夫婦世帯となっています。

 この「ふらっとステーション・ドリーム」も住人が欲しいと思った機能で、当初2年間は横浜市との協働事業「地域ぐるみ介護予防の仕組みづくり」で取り組み、地域の誰もが気軽に立ち寄れ、交流できるように30人のボランティアが交代で毎日オープンして、1日平均40人が利用しているそうです。

 島津さんは、行政との関係で気をつけていることは・・・という問いに、「対等の関係が協働ではなく、エリアマネージメントは住民がするもの。それをバックアップするのが行政の仕事」ときっぱり。
 居場所での人のつながりの中で、小さな相談や課題が解決され、また、地域の力も育っているということでした。

 この「ふらっとステーション・ドリーム」は6月にさわやか福祉財団にお話を伺いに行ったときに紹介していただきました。
ふれあいの居場所ガイドブックに、「子どもたちも、お年よりも、若者も、中年もそこで人とふれあい、元気をもらって笑顔を取り戻す。仕切られない居場所にはそういう力がある。人が本来持っている力が、エネルギーを生み出す」とさわやか福祉財団理事長の堀田力さんが書かれていましたが、その言葉を映像で見たようで幸せな気持ちになりました。
 品川区にもこのような居場所がたくさんできるよう力を尽くしたいと思います<いちかわ・かずこ>

「介護アンケート」へのご協力ありがとうございました

介護の社会化の実現には程遠い現実が・・・

品川・生活者ネットワークでは、4月から「介護アンケート」を実施しました。
55名の方から回答を頂きました。ご協力に感謝申し上げます。

介護保険がスタートし、介護サービスが導入され、家族の介護負担の一部を社会が担うようになりました。しかし、未だ現状では「介護の社会化」の実現には程遠く、依然として介護家族の肉体的、精神的負担が大きいことには変わりありません。
近年、核家族化により夫婦だけの老々介護が増えました。その実態として多くの高齢女性が家庭での介護を担っている現状が読み取れます。今回のアンケートからも施設入所を希望するという回答はかなりありました。
品川区で特養老人ホームの待機者は550人といわれています。施設入所を希望する人が激増する状況というのはまさに「家族が疲弊し、ギブアップせざる得ない状況」をものがったているのではないでしょうか。

アンケートから、介護家族の負担軽減へ向けて以下のようなことが考えられました。
①介護給付金のあり方の見直し 
一人当たりの介護サービス利用額は在宅と比べ施設利用者は約4倍の保険給付を受けているといわれています。在宅の場合はそのほかに住居費や光熱水費もかかります。家族や要介護者本人に必要十分な給付が行われるしくみが必要だと思います。
②地域コミュニティづくり
「介護の情報を得たい」「悩みを相談したい」と思ったとき介在してほしいのは、まず、同じ目線で語り合える先輩の存在であり、サービスを実際に使った家族の生の地域情報です。そうした地域のコミュニティづくりも視野に入れたまちづくりは必要です。
③ショートステイの量と質の拡充
緊急時のショートステイを望む声もありました。冠婚葬祭や介護者の急病など緊急の場合にはさらに確保が難いのが現状です。介護者が肉体的精神的にも健全でいられる環境づくりは必要です。在宅介護者の介護継続の命綱となるショートステイです。
④ホームヘルプサービスの充実
ホームヘルパーによる訪問は単に家事の提供というだけでなく、社会とのかかわりそのものであり、貴重なコミュニケーションの相手でもあります。介護者にとっても閉塞しがちな家庭に外から空気を入れてくれる貴重な存在となっていると考えられます。

アンケートに寄せられた多くの声をまとめる中で、要支援を含めた高齢者本人や介護家族の声を真摯に受け止めた上で、利用者の視点を第1に介護保険制度改正へ向けた働きかけが必要であると思いました。<いちかわ・かずこ>

アンケートの内容
1.介護を経験したことがありますか。
2.介護した方はどなたですか。
3.介護は何人で担いましたか。
4.介護をつらいと感じたことはありましたか。
5.①何がつらかったですか。
  ②つらい時はどうされましたか。
6.品川区の「在宅介護者激励つどい・宿泊研修」に参加したことがありますか。
7.家族による在宅介護に関しての思いやご意見を自由にお書きください。
8.ご自分が受けたい介護はどのようなものですか。

添付ファイル

必要な人が必要な介護を受けられる…そんな介護保険制度であって欲しい!

2012年度介護保険改正へ向けて学習会を行いました

講師の香丸眞理子さん
講師の香丸眞理子さん
7月17日(土)品川地域協議会(23区南生活クラブ生協 まち港.品川宿、品川・生活者ネットワーク、ミニデイ「ついたち会」、品川たすけあいワーカーズ・たんぽぽ)主催で「介護保険学習会〜介護保険制度をよくするために〜」を行いました。
講師には、NPO法人アビリティクラブたすけあい(略称ACT)前理事長の香丸眞理子さんをお招きし、ACTが市民事業者としてまとめた改定に向けた6つの提言の内①生活援助に関すること、②介護予防に関することを中心にお話をうかがいました。

2006年度の改正では、「生活援助」が要支援や要介護1の軽度者の要介護状態を重度化させるとした調査データ(松江データ)が重要視され、「生活援助」の1.5時間の利用制限や筋力トレーニングを中心とする介護予防サービスで「重度化」を防ぐ「介護予防」が導入され、地域包括支援センターが創設されました。

提言①
訪問介護の「生活援助」は介護度の区別なく利用者の意欲を向上させ、確実に介護の重度化を予防することが期待できるサービスです。介護保険制度から「生活援助」を外さないでください。

◆ACTが2004年度に行ったたすけあいワーカーズの利用者の要支援・要介護1の要介護度の推移調査と2008年度行った883人の利用者の介護度の推移調査では、松江データと比較して要介護1の対象者の改善・維持の割合はACT利用者の維持・改善率が15%上回った。
◆883人のケアプランから「生活援助」サービスを利用する人のほうが利用しない人よりも同じ介護度を維持する期間が長いことが立証された。
◆在宅で介護度を長く維持している利用者34人のヒアリングからは、利用者の自宅にホームヘルパーが訪問することで不安が解消されたり前向きで自立的な生活を送ることに繋がっていることが浮かび上がった。

提言②
予防プラント介護プラン分断することがないように、要支援(1・2)の予防給付を介護給付として位置づけてください。

◆介護予防プランが、通所サービスを中心として筋力トレーニング・口腔ケア・栄養指導が用意されたが、サービス事業者の不足も見受けられ利用実態は広がっているとはいえない。多くは、予防訪問介護サービスによる「生活援助」を利用している実態が現状。
介護予防の考え方は、要支援1・2の対象者だけではないはず。2006年度の予防給付の改正で、利用者は認定結果次第で介護給付と予防給付を行ったり来たり、そのたびに契約を結ぶなど理由もわからず振り回されて困ったという声を多く聞く。

2012年の介護保険制度の改正が、持続可能な制度展望を財源問題だけに焦点を絞るのではなく、人間の尊厳を大切にする「介護」を広く論議すべきであり利用者にとってシンプルでわかり易い改定になることが必要であると強く感じました。<いちかわ・かずこ>