原爆投下から75年――核廃絶に向け具体策を講じ行動するとき

広島、長崎に原爆が投下されてから、75年目の夏を迎えた。原爆投下によって数十万人が犠牲となり、今でも多くの被爆者が放射線による後遺症に苦しんでいる。

 

原爆被害の悲惨を二度と生み出さないためには、その全面廃棄しかありえないが、今年1月時点の核兵器(核弾頭)保有数は13410発(90%以上をアメリカ・ロシアが保有)。昨年比でアメリカ、ロシア、フランスの保有数がやや減少した一方で、イギリス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮の保有数は増加する結果となっている。さらに問題なのは、ウラン型原発・プルトニウム型原発10万9060発分の核物質を世界が保有している事実である。とくに軍事・非軍事を問わない世界のプルトニウム保有が530トンに達し、うち日本が民生用原子炉で生み出し、または使用済み燃料から分離したプルトニウムは41.7トンとピークに達している。そればかりか、六ケ所再処理工場の安全審査を経て、事実上さらなる余剰プルトニウムを取り出そうとひていることは看過しがたい危機である(長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)が毎年作成・公開している『世界の核弾頭データ』及び 『世界の核物質データ』ポスター。画像は、公開された2020年版ポスター)。

 

今年1月23日、アメリカの科学誌「原子力科学者会報(BAS)」が、世界の終末=地球滅亡=までの時間を示す「終末時計」の針が午前零時まで残り100秒となった、と発表した。各国の温暖化対策の不十分さに加え、崩壊に近づくイラン核合意、昨年8月、中距離核戦力全廃条約(INF)が失効してしまったこと、来年2月に有効期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の延長問題に先行きが見えないことなどが要因とみられるが、ことほど左様に、世界の核兵器保有は、依然として現代の脅威なのである。

 

2017年に国連で採択された核兵器禁止条約は、現在、発効に必要な批准50カ国まで残り7カ国となった。昨年12月にNHKが実施した世論調査では、国民の6割が「参加すべき」と回答した。日本政府はこの事実、民意を真摯に受け止め、核廃絶をターゲットに条約発効に向け力を尽くべきである。さらに余剰プルトニウムを取り出す愚策、再処理は即時中止、中間貯蔵とすべきであることは言うまでもない。SDGSが掲げ、世界が希求する「持続可能な世界」「持続可能な開発目標」。その根幹に核廃絶と核兵器の全面放棄を据え、具体策を講ずるときである。それこそが、憲法9条を名実ともに生きた条項とするための不可欠条件なのである。

敗戦後75年の夏。各地の地域ネットで反戦平和・反核行動が行われた。画像は毎月9の日に行われるスタンディング。今年8月9日 練馬駅前でのスタンディング。それぞれ持ち寄った絵本などを朗読し、反戦平和のちかいをあらたにした