オリンピック招致に向けてお金は動く!

2008年北京オリンピックは中国が国威をかけて華々しく行なわれたが、終わってしまえばその高揚感はあっという間に過去のものとなってしまった。

一方「2016年オリンピックを東京に!」という知事の公約実現のため、来年の10月の開催都市決定に向けて、いよいよ東京は走り出した。

オリンピック招致推進活動は、2006年9月から決定までの3ヵ年で総額150億円が予定されており、東京都はその内の100億円を負担する。残り50億円は招致委員会(NPO法人)が民間から寄付を集め、スポーツ選手や芸能人を活用した招致機運の盛り上げなどに使われる。

東京都オリンピック招致本部の20年度の予算では、立候補ファイル作成に15億円、海外IOC委員等への招致活動などに10億円余。さらに、なかなか盛り上がらない国内のオリンピック招致機運に対し、様々な普及啓発活動を予定しており、18億円が計上されるなど総額44億円にのぼる。(19年度は計20億円)

このうち区市町村等と連携したオリンピズムの普及・啓発として大きいのが、区市町村が行なうオリンピックムーヴメント推進事業に対し、1自治体1,000万円までの補助であり、総額6億円を超えるが、各区市はどのような事業を行うのだろうか。また商店街にはためくフラッグ等も予算化されており、町のあちこちで見かけるようになってきたが、なんと3,2億円もの計上である。

この先、いよいよ海外のIOC委員に向けてPR活動が展開されるが、節度ある活動であってほしいものだ。
さらに、もし来年正式に開催都市に決定でもすれば、競技施設等の新設・改築のみならず、道路や地下鉄など交通機関の整備など、膨大な予算が必要になるのは必至。

オリンピックによる経済効果は様々に算出されているが、一過性のものに過ぎないことは過去のオリンピックや万博などのイベント開催で分かっていることだ。予算の優先順位を長期的視点で見て、東京に暮らす人々の生活を本当に豊かにするものに変えていきたい。

どうなる?! 築地市場移転問題

築地市場移転問題は、市場での取扱量と車両増加などに伴い、1962年に周辺の用地買収や移転の検討が始まったことに端を発し、すでに46年が経過しました。1986年に一旦、現在地・築地での再整備を決定。工事に着手したものの、営業を行いながらの改善は困難を極め、結局390億円を投入した再整備は断念されました。1999年には、築地市場再整備推進協議会が移転へと方向転換を打ち出し、その2年後、豊洲新市場予定地への移転が決定したのです。

これまで生活者ネットは、市場の衛生管理や環境改善を求める上でも、老朽化・狭隘化した築地では限界があり移転はやむなしという立場でした。しかし、豊洲の予想以上に深刻な汚染状況が判明した今、再考せざるを得ず、第3の道として「晴海」を予定地として再検討するよう提案しました。

そもそも豊洲を移転先に決定した理由に、40haという敷地面積の広さがあげられています。23haの築地市場と比べれば魅力的ですが、市場の取扱量は最盛期に比べ今や約6割。またインターネットの普及で市場外流通が増えるなど、市場を取り巻く現状も急激に変化しています。今後、人口が減少していく時代に40haの広さが必要なのか、さらに、1000億円を超えるともいわれる土壌改良工事などの対策も、費用対効果の面から多くの疑問が残ります。

築地も晴海もオリンピック関連施設の予定地とされており、豊洲への移転を強行する場合でも、徹底的な土壌対策を行うには膨大な時間がかかることから、オリンピック招致計画は当然見直しが求められることは必至で、行き当たりばったりの都政のつけは小さくありません。

生活者ネットは、食品を扱う市場の安定的、かつ安全な維持管理が最も優先されるべきで、まず、築地市場の将来を定め、その上で他の問題を解決する立場に都政が立つよう強く求めました。

CO2削減の有効な手段になるか! 東京版・排出量取引

環境確保条例改正

東京都の環境確保条例の改正は温室効果ガス、その中でもCO2削減を大きく打ち出し、全国で初めて大規模事業者にCO2削減を義務づけたものです。

対象となるのは、燃料、熱、電気の使用料が原油に換算して1500klを消費する大規模事業者。過去の平均排出量を「基準排出量」とし、そこに「削減義務率」をかけて「削減義務量」を割り出し、2010年度から5年をかけて削減の努力が義務づけられます。 該当する大規模事業者は都内の事業者の割合でいうと0.2%と少ないのですが、CO2の排出量でいうと都内の4割を占めることから、その効果が期待されます。

また、期間中に削減できなかった場合は、削減義務以上に達成できた事業所から買い取ることも可能で、その上でなお削減義務を果たせない事業者には罰金(上限50万円)を課すものとしています。また、中小規模事業者も任意で削減に取り組み、その削減量を認定された場合、その分を大規模事業者に売ることができます。このように、削減義務を果たせなかった場合の「排出量取引」と「削減を義務づける対象がオフィスビルにも及んでいる」という制度設計は世界でも初の試みであり、国内外で注目されています。

CO2をはじめとする温室効果ガス排出量や削減量の算定・検証、検証機関の登録など細かい部分は、今年度中に策定される各種ガイドラインに示されることになりますが、事業者へのCO2削減のインセンティブは示せたものと一定の評価をし、今後の展開を注視していきます。

食の安心・安全

食品安全条例をもつ自治体・東京都が果たすべき役割

年初めに表面化した中国産冷凍餃子の有機リン系農薬による中毒事件は、社会に大きな衝撃を与えましたが、いまだに原因究明にいたっていません。

3月議会で生活者ネットワークの都議、西崎光子は、輸入食品の安全確保への都の取り組み姿勢を確認し、事業者が行なう「自主回収報告制度」の意義と効果について質しました。この制度は、食品による健康被害の拡大防止や被害の未然防止のために、事業者が自主回収を行なう場合、都に報告することが義務付けられているもので、東京都の食品安全条例の中でも特筆されるものです。  
また、他県の学校給食では多くの輸入冷凍食品や半調理品が使われていたことが明らかになりましたが、都内の学校給食では手づくりにこだわって、冷凍食品や輸入品を使わない方針であることは評価できることです。さらに、民間委託や弁当給食など多様化する学校給食においても、安全性の確保を怠らないよう、強く要望しました。

今回の農薬混入事件では、使用禁止農薬の周知徹底や使い残した薬品の処理など、国内においても不充分な実態が表面化したことから、有機農産物をはじめとする特別栽培農産物等の生産を支援し、都民に信頼される農業を推進する都の取り組みが必要です。石原知事は所信表明のなかで、国に先駆けて原材料の原産国表示をすると発言し、現在消費生活対策審議会において、食品の原料原産地表示のあり方についての検討が始まっています。

食品安全条例をもつ自治体として、東京都が都民の安心・安全の根幹である食の問題に常に先導的な役割を果たしていくよう、都議会からも注目していきます。

乳がん検診の充実を求めて

〜決算審議の質問から〜

 日本人女性では、乳がんは25人に1人がかかるといわれ、胃がんを抜いて第一位です。食事の洋風化や出産年齢の高齢化にともなう女性ホルモンとの関係が大きいといわれています。なかでも東京は、乳がんの死亡率は全国でワースト1。乳がん検診の受診率もワースト2となっていますが、乳がんは早期発見・早期治療を行なえば、95%は直るのです。

 2004年に乳がん検診のあり方が見直され、厚生労働省は視触診だけでは不十分なことから、区市町村が実施する40歳以上の乳がん検診にマンモグラフィを全面導入することを決定し、その体制整備を急いできました。国は緊急対策として05年、06年度の2年間で、区市町村の検診に従事する医師や診療放射線技師の養成とマンモグラフィの整備を推進してきています。それに対して都は、およそ500人の医師や専門技師などの研修を行い、52の自治体でマンモグラフィによる検診を実施しています。

 受診人数の推移は、03年度が16717人であったのに対し、04年度67565人、05年度89581人と増加に転じているもの、全体の受診率は低く、都民の乳がん検診率は8.6%に過ぎません。都は、「健康推進プラン21後期5カ年戦略」において乳がん検診の受診率目標を50%としていますが、区市町村の乳がん検診は無料のところから2000円程度まで個人負担にも差があるのも実情です。これからは、受診率を上げるための啓発活動が大切になってきます。

 10月は「乳がん啓発月間」としてピンクリボンキャンペーンを実施、参加する企業やイベントも増えてきました。ピンクリボンとは、80年代のアメリカで盛んになった乳がんの早期発見・早期治療の大切さを伝える市民運動のシンボルマークです。10月1日には、都庁をピンク色にライトアップし広場でイベントが開かれました。また「ピンクリボンマップ」を作り、啓発事業に取り組んでいる自治体を紹介しています。都は、区市町村と連携しながらピンクリボンの活動を広げていく必要があります。

学校・体育館の耐震化を急げ!

〜区市町村の震災対策促進に、都独自の財政支援を〜

今年、東京都は国の防災会議による被害想定の見直しを受け「地域防災計画」を修正しました。これをベースに市区町村でも「防災計画」の見直しが行われています。関東大震災では、火事で、阪神・淡路大震災では家屋の倒壊で、新潟・中越地震では土砂崩れやエコノミークラス症候群などで多くの命が奪われたことを顧みれば、震災対策はあらゆる状況を想定し対策をたてなければなりません。

特に東京では、超高層ビルをはじめとする巨大建造物が出現している現在、建物その他人工物の倒壊による被害を最小にすることこそが課題です。国の防災会議は、東京湾北部地震が発生した場合、耐震性のない避難所の倒壊まで想定すると、最も被害の大きい23区では避難所に入れない人が約60万人、162万世帯が家を失い、地震半年後も27万世帯が住宅を失ったままになるとの試算を発表しています。

東京都の震災対策は、自助と減災の方向性を打ち出していますが、そうであるならば、いま最も必要な対策は耐震対策と安全な避難所の確保です。しかし、具体的な施策の実行はほとんど市区町村の責務となっています。

今回、第3回定例会の生活者ネットワークの一般質問で明らかになったのは、現在、見直しが検討されている「市区町村地域防災計画」の進捗状況を都は全く把握していない事実でした。特に、学校や体育館は、日常は学習の場として、災害時は避難所として、安全確保が最も求められる施設です。ところが実態は、公立小中学校の耐震化率は23区77.1%、多摩地域64.1%、全体で72.4%です。都の耐震化促進計画では、2015年度に100%と計画していますが、財政的な裏づけもないまま市区町村に計画をつくって進めてくれとお願いする、という情けない状態では計画の実効性を疑わざるをえません。

現在、学校や、体育館の耐震化は国と市区町村の負担とされているため、財政の厳しい自治体の負担は重く、市長会も都独自の補助制度を要望しています。都の財政状況に余裕がある今こそ、市区市町村の震災対策を財政支援とともに進めていくべきです。

DV被害者支援

都の取り組みを問う

今年7月、改正DV法が国会で全会一致により成立しました。今回の改正では、保護命令を拡大し、生命等に関する脅迫を受けた被害者に対し、保護命令がだせるようになったほか、電話・メール・ファックスなどの禁止、被害者の親族などへの接近禁止も可能になりました。
 また、「配偶者暴力相談支援センター」の機能は現在、都のウイメンズプラザと女性相談センターが担っていますが、今回の改正により市区町村相談センターの設置が努力義務になりました。身近な市区町村で整備できるよう東京都からも働きかけて取り組みを進めていく必要があることから、9月27日、第3回定例都議会の一般質問で、生活者ネットワークはDV法改正を受けての東京都の取り組みについて取り上げました。

 DV被害者支援では、市区町村相談支援センターの設置とあわせ、被害者を保護するシェルターの存在が不可欠ですが、財政的な基盤のない民間団体によるシェルター運営はどこも大変厳しい状況です。東京都や各自治体からの支援を今回も求めましたが、行政は縦割りであり、また、都と市区町村の役割分担もはっきりせず、前進には至っていませんでした。

 DVは犯罪です。大きな事件に発展しないためにも被害者から相談をうけた時の警察の対応は重要です。二次被害や対応遅れにならないようにするために女性警官を配置し、職員研修を進めることを要望しました。さらに、この夏、立川で起きた警察官が女性を殺害し、拳銃で自殺した事件にふれ、DVやストーカーなどの被害にあっている当事者にとって警察は頼りにしたい相談窓口であり、被害者を犯罪から救う任務を背負っていることから、このような事件が二度と起こらないようにするとともにDVやストーカーなどの対応に万全を期するよう求めました。

ストップ!地球温暖化

環境自動車燃料・菜の花プロジェクト

地球の存亡をかけての温暖化対策。ポスト化石燃料として今、国も東京も大きく動こうとしているのが環境自動車燃料導入プロジェクトです。しかし、すでにバイオエタノールの主な原料のとうもろこしやさとうきびなどが、食糧の高騰を招いています。
環境自動車燃料が命の糧を脅かしてはなりません。まず、省エネをすすめ、世界最大の消費地である東京のもつ特性を最大限に生かしたバイオ燃料の開発、供給をめざすべきです。
廃食用油はもちろん、建設廃材、下水汚泥などさまざまな廃棄物、多摩産材の端材などの有効利用が資源循環型エネルギーへの道を拓くことになります。

温暖化対策はさまざまな市民活動との連携なしでは広がりません。全国的な広がりをもつ「菜の花エコプロジェクト」や、自治体、市民団体やNPOが家庭の廃油をリサイクルしてバイオディーゼル燃料として使用している試みは注目に値します。

6月に発表された「都有地利活用」(※)の方向性を評価し、新たな公の仕事・温暖化対策としての緑の確保、市民活動の支援などに有効に活用されるよう期待したいと思います。

(※)東京都財務局は、都有財産の利活用にあたって「今後の財産利活用の指針」を発表。これまで都は財政再建の観点から「売却」を中心に財産の利活用をはかってきたが、今回の指針では、緑の創出の実現に向けた都有財産の積極的な利活用や、都の施策への協力を条件として自治体に売却することや貸付けをも可能とした。

子どもは待てない!

根本的ないじめ対策を

いじめが原因と思われる子どもの自殺が相次ぎ、大きな社会問題となりました。都内でも自殺予告が寄せられ、東京都教育委員会では、緊急措置として24時間受付の専用電話を設置しましたが、自殺にいたる事例が生じませんでした。その後、教育相談センターでの電話相談に移行しましたが、残念ながら時間も短くフリーダイヤルではありません。

ネットの提案で、東京都は1998年から「子どもの権利擁護専門相談事業」を実施しています。子どもや親からの悩みや訴えを相談員がフリーダイヤルで受け、いじめや体罰などの深刻な相談には専門員が個別の支援を行うもので、相談件数は、事業開始以来、約1万2000件にのぼっており、その約8割は子ども本人からの相談です。

相談のうち、専門員が実際に家庭や学校への訪問などを行い、問題解決にあたった困難ケースは約300件と成果をあげています。今後、電話回線や電話相談員をふやすなど、機能をさらに強化し、総合的に子どもの権利を守るオンブズパーソンとして、活動をもっとPRするよう求めました。

政府の教育再生会議が発表した緊急提言では、「いじめを放置した教員は懲戒処分」「加害者側には登校停止や社会奉仕」などがあげられていますが、子ども自身が解決する力をつけない限り、いじめによる自殺を防ぐことは困難です。

イギリスなどでは中高生がピアカウンセリングを行い、いじめ防止に有効といわれています。同年代の若者が相談に乗る立場に立つことで、他者の気持ちを理解し共感する力がついていくと考えられるからです。

また、大阪府教育委員会は来年度からいじめ防止対策として、暴力から身を守る力を引き出す教育プログラム「子どもエンパワメント支援指導」の導入を決めています。

いじめによる自殺などの痛ましい犠牲者をなくすためには、対症療法だけではなく根本的ないじめ未然防止対策が必要です。都としての取り組みを求めましたが、緊急相談の内容を資料にまとめ、教員研修のほか保護者会でも活用するよう働きかけていくという、これまでの対策にとどまりました。

景観行政のあり方が、問われている

「東京都景観条例」が全面改正されました

オリンピック招致をてこに開発の動きが現実のものとなってきましたが、10年後の都市像として、省エネ・省資源の最先端の都市や、独自の都市景観を持つ忘れがたい都市であることが、都市の価値として最も重要であると考えます。

経済効率を求めすぎた結果、つくられた街並みが今の東京です。先ずは、時代遅れの開発主義から決別し、同時に高さ神話から脱却することです。防災性からみても、人が住み働くマンションやオフィスは、地震に安全で、エレベーターに頼らず、住む人や働く人がコミュニケーションをとりやすい低層か、せいぜい中層の建物とし、水辺やみどりの潤いのあるまちづくりをめざすべきです。

景観条例改正案*は、建築物や工作物の色彩、屋外広告物のデザインの規制だけに留まり、高さ規制など根本問題の解決に迫ってはおらず、その効果に期待が持てません。景観行政における発想の貧困は、国分寺崖線基本軸指定地(民間の建築物は10m以上届出必要)に存在する「都立府中病院」の建て替え計画にも及んでいます。57mの高層病院計画は、条例の精神を無視しており、当然、景観配慮の指導が必要ですが、高さ規制がないため阻止できません。自治体が景観法にもとづく景観行政団体となり、地域の景観条例などで、その地域にあったものに規制していくことが重要であり、実効性が高いといえます。

*今回の条例改正の目玉に、「全国初の事前協議制の導入」があるものの、容積率の緩和などが必要な大規模建築物を対象としており、地域で紛争になる事例には当てはまらないものとなっている。