■東京都教育委員会の役割を問う

果たすべきは、教員との信頼・協力関係の構築

今、学校現場では、いじめ、暴力、不登校などが解決されないまま、子どもや教員の自殺などが毎日のように報道されています。生活者ネットワークはこの夏、教育費用調査を行いましたが、その中でも、公教育だけでは不安を感じ、塾に頼る実態が垣間見られ、公立学校の教員への不満と期待が多数寄せられました。しかし、一方では子どもや保護者の急激な意識の変化に対応しきれない教員の悩みは深刻で、中途退職者と休職者が年々増加し、心を病んで通院する事例も増えています。子どもの数が減少していない都内では、今年度も1000人以上の新規採用が予定されており、この傾向はしばらく続くと思われますが、団塊世代が停年退職時期を迎えることと合わせて、公立学校における教員の数と質の確保は直近の重要課題です。

東京・生活者ネットワークでは9月の一般質問で、教員の任用制度と新規採用者への対応について、緊急かつ抜本的対策の必要性を追求しました。一般企業であれば、新規採用者に対して採用前に一定の研修期間を設け、時代の変化とともに起こるさまざまな問題への対応なども当然のこととして行われますが、教員の場合は、大学卒業後何の研修もないまま、クラス担任になることも珍しくありません。新規採用教員の研修のあり方や相談体制をつくるなど、緊急に対策を講じる必要があります。これまで教員の採用・養成を担ってきたのは東京都教育委員会ですが、すでに独自の採用や研修機関設置にふみ切る自治体も出てきています。

都は、「日の丸」「君が代」に象徴される画一的な強制や、管理体制強化の教育行政から脱して、教員との信頼関係、協力関係を築くことにこそ力量を発揮すべきであり、最重要課題として取り組むべきです。

権限も責任も不明確!「都立学校経営支援センター」はいらない

教育の分権と教師、地域の力量が必要とされる時代の要請に逆行

12月の都議会定例会で、教育長は、卒業式等の日の丸・君が代に対し、起立しない生徒がいることへの対策として、「生徒を適正に指導する旨の通達」を改めて出すことを明言しました。これまで生活者ネットワークは、児童・生徒の内心の自由を尊重し、強制はしないことを再三にわたり確認した経過がありますが、今回はその答弁を大きく踏みにじるものです。

教師に対する個別的職務命令の強化とともに、まさに、生徒の内心の自由を侵害する教育の危機です。今議会に提案された「都立学校経営支援センター」設置条例(案)は、この流れと無関係ではありません。
学校経営支援センターは大きく「経営支援ライン」と「業務支援ライン」に分かれており、業務ラインはこれまで各学校で行っていた契約業務、施設・庶務業務などを事務集約して集中処理を行うというものです。事務処理という点では、効率化を図ることに反対するものではありませんが、学校での事務員が減ってしまう点で問題です。連日、子どもと学校の安心・安全が脅かされています。児童・生徒の安全を守る取り組みにこそ、人手をかけ整備を急がなければならない時であるにもかかわらず、新たな行政機関として学校経営効率化の理由で人員を削減することは理解に苦しみます。生活者ネットは、新たな役割として「学校安全指導員」の配置を切に求める立場で働きかけています。

一方、経営支援ラインでは学校への細かい支援として総勢200名もの担当者が学校経営、教育課程および教育活動、人事管理などの支援を名目に都立学校に日常的に出向くことになります。教育の分権と教師、地域の力量が必要とされる時代にあって、学校教育、学校経営にかかわるすべてのことに行政が介入しようとする考え方は、自主性・自立性の否定であり時代の要請に逆行するものです。教育基本法第10条の「不当な支配」にあたるもので、子どもの自由な学びまで疎外することが危惧されます。権限も責任も明確でない「都立学校経営支援センター」の設置にかかる条例案に反対しました。