6月2日、都議選前の議会は急ぎ足だ。代表質問も一般質問(といってもこれはネットだけ)も持ち時間1人1分×会派人数、ということでネットの持ち時間は4分。高齢者者福祉と行政サービスについて質問した。
私が、NPOの福祉団体の理事長を経て都議会議員になった2001年は、介護保険制度が施行されて2年目。より良い制度として根付かせ、介護の社会化を進めようと活動してきた。しかし、制度の見直しや改正のたびに残念ながら介護サービスは充実とは逆の方向に向かっている。介護疲れによる自殺や心中は後を絶たず、大都市特有の高齢者独居や高齢のみ世帯、加えて独身の子どもが親を見るシングル介護の増加が加速するのは必至だ。先に先駆けて超高齢社会を向える東京において、どのような都市をつくっていくのか、知事の見解を求めるとともに、本年3月策定された「東京都高齢者保健福祉計画」が計画倒れに終わらぬよう、高齢者福祉の充実に向けた、都の取り組みを問うた。
知事は、元気な高齢者が8割を占める中「支えられる存在」として画一的にとらえず、経験や能力を生かし「社会を活性化する存在」として、新たな高齢者像を描いている。さらに、最先端技術を活用し高齢者の自立した生活を支えるとともに、高齢者が自ら活躍できる都市モデルを作る、と答弁。福祉保健局は、今年度、医療・介護が連携した高齢者専用賃貸住宅のモデル事業を始め、高齢者が住み慣れた地域で、自分らしく暮らせる安心・安全な社会実現の施策を打ち出した。今後も、区市町村や関係者と十分連携し、計画を着実に進める、と答えた。
行政サービスについては、この4月、都立永福学園に、教員と外部の専門家が連携した新たな指導体制による肢体不自由教育部門が開設されたが、医療的なケアを必要とする児童への体制が整わず、保護者が付き添いを2か月も余儀なくされている状況について質した。
個々に応じた医療的なケアと行える看護等の専門家が少なく確保が難しかったが、10人中3人は5月で保護者の付添終了し、残り7人も徐々に付添時間を短縮し、今学期中には終了する、との答弁であった。
今回わかったことは、医療的ケアが必要な児童・生徒には、入学時一か月位は保護者が付き添ってもらうことが明らかになった。確かに、個々に応じた医療的なケアの難しさもあるのだろうが、専門家を増やして保護者負担の軽減を図るよう求めていかなければならない。
福祉や教育は、高齢者や障害者、子ども等の立場に立って、サービスが提供されるべきと考えている。確かに都民の貴重な税金で成り立つ都政において、無駄遣いは戒めなくてはならないが、安全で良質な公共サービスは確実かつ適正に実施されなくてはならない。単にコストのみを追求するのではなく、複合的な視野を持って進められるものと考え、「職員のコスト意識」と行政サービスについて、質問した。
行政サービスの質の確保とコスト意識を念頭に仕事を進めていくために、バランス感覚を備えた職員の育成に努める。民間のノウハウの活用や、新たな公会計制度の導入、各種の研修により、職員の意識改革を進める、との答弁であった。
毎回、答弁調整に多くの時間を費やす。本番は、質問も答弁も「出来上がった台本」を読むようなセレモニーとしか言いようのない議場風景となる。調整段階のやりとりが議場で行われれば、「生きた会議」として傍聴者も増えるのだろうか。議会運営の改革は、まだまだ道遠し。改革への糸口を見つけるためにも中井八千代につなげなければと思いを強くした。