高い費用が問題「子ども向け新型ワクチン」

 最近、相次いで子ども向けの感染症予ワクチンが承認され、接種が始まりました。Hib(インフルエンザ菌b型、通称ヒブ)ワクチン(2008年12月開始)、肺炎などを予防する肺炎球菌ワクチン(今年2月開始)、子宮頸がんを予防するワクチン(2009年12月開始)の三種類です。ワクチンにはそれぞれ接種に適した年齢や、予防効果を得るための接種回数があります。しかし接種費用が高額で、所得の格差が健康格差につながりかねないという声が医師や患者などから上がっています。

細菌性髄膜炎 
 細菌性髄膜炎は、細菌が脳を覆う髄膜に進入し炎症を起こす感染症です。乳児から九歳ごろまでの子どもに年間推計で約1000人近くが発症しています。原因はヒブによるものが55%、肺炎球菌によるものが20%で、発症した子どもの15〜20%に脳性まひなど重い後遺症が残り、約5〜10%が死にいたっています。肺炎球菌ワクチンと、ヒブワクチンを接種すれば8〜9割の細菌性髄膜炎は防げるとされます。
 予防接種には、三種混合やポリオ、麻疹などのように予防接種方に基づいて自治体などが費用を負担する「定期接種」と希望者が自費で受ける「任意接種」があります。
 ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、任意接種です。肺炎球菌ワクチンは1回9千円〜1万円。ヒブワクチンは1回7千円〜9千円。生後7ヶ月未満の乳児ではそれぞれ4回接種が必要なので両方合わせて6〜8万円にもなります。予防のためにワクチンを受けたほうが良いけれど値段が高くあきらめる保護者もおおいのが現状です。
 ヒブワクチンについては都内23区中18区で公費助成が実施され、肺炎球菌については千代田区と葛飾区で公費助成が実施されています。しかし板橋区はいずれも公費助成が行われていません。
子宮頸がん
 国内で年間約1万5千人が発症し、約3500人が亡くなっています。子宮頸癌は子宮の入り口、頸部にできる癌で、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で、主に性交渉で感染します。多くの人は感染しても自分の免疫力でウイルスを排除しますが、一部で持続感染し癌になるといわれています。
 近年、結婚、出産、子育て期の若い女性の発症が増加し、20代〜30代での年間死者数は1985年の92人から2005年には177人にものぼっています。
 ワクチン接種で発症を約7割は予防できるといわれています。
子宮頸癌ワクチンは初めての癌予防ワクチンで、一回15000円〜20000円で3回の接種が必要です。
 海外では12歳前後を中心に学校や医療機関で接種し、約30カ国が公費助成をしているといいます。
 都内では、杉並区で今年度から「中学進学お祝いワクチン」として中学1年女子を対象に全額助成し、江戸川区でも7月から区内在住の女子中学生を対象に子宮頸がんのワクチン接種を全額助成する制度を始めるほか、渋谷区でも子宮頸がんワクチンの接種を助成する事業をはじめています。
 子宮頸癌ワクチンの接種は、子どもたちが「性」についてや「自分の健康を自分で守る手立て」について、思春期から考えられるような教育の方法や場を、大人が準備していく機会になります。

望まれるワクチン接種の公費助成
 接種への助成は、未来の担い手の命への投資ともいえます。子どもの命や健康に、親の経済事情や住んでいる地域によって格差が生じるべきではなく、国民の一人一人が等しく受けられる利益でなければなりません。
ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頸癌ワクチンの接種も「定期接種」に位置づけ、公費助成で誰もが接種を受けられるように国に要望していく必要があります。

*ネットレポート73号より