八ッ場ダム予定地、見てきました。(その1)

 6月19日20日の2日間で群馬県吾妻郡長野原町にある川原湯温泉に行ってきました。ただ単に温泉観光に行ったのではなく、ここは八ッ場ダム建設予定地でこの温泉はダム湖の底に沈む計画でした。前原国土交通省大臣がダム本体工事中止を発言し、全てがなくなったわけではなく、逆に複雑化している現地を直に見て、水没予定地に住む方から直接お話を聞く機会も持つということで、東京水道労働組合の水源地調査見学会に参加させていただきました。

 まず「ずり上がり方式」で現住地のすぐ裏山の斜面を切り開き、谷や沢を埋め立てた人工造成地である川原湯地区・打越地区・湯の原(上湯原)地区の代替地を見ました。上流には浅間山・草津白根山と活火山があり、かつての噴火による堆積物で出来上がった土地のため、周辺は地すべり多発地帯です。多数の砂防ダムも作られていましたが、地質が脆いため住宅地としての安全性が検証されていません。すでに、これまでも大雨による地すべりが起きていて、補強のためのアンカーボルトが打ち込まれていますが、その鉄材も赤く錆びていました。というのも、噴火山の影響で土壌の酸性がとても強く、鉄もコンクリートもその劣化速度が増すことが考えられます。

 続いて、付け替え国道や付け替え鉄道の建設地へ回り、前後の道が分断したまま掘りあがったトンネルも見ました。地権者の反対で迂回路を考えている国道、鉄道は迂回することができないため、暗礁に乗り上げているそうです。また、高さ70mから87mもの巨大な橋梁が3本も計画されていますが、特に注目を集めた橋げたが十字架型で全世界へと象徴的に報道された湖面2号橋はつながり、1本の橋が出来上がっていました。当日は土曜日でしたが、大型ダンプとクレーン等大型重機が急ピッチでこれらのいわゆる生活再建事業の工事を進めていたのが、印象的でした。

 水没予定者からは「50年以上前からダム建設の計画があり、いつ立ち退けといわれるかわからないまま、暮らしてきた。」「温泉旅館の増改築や改修に手を付けることもできず、古びてきた。」「この3月、とうとう老舗旅館が一つ休業し、温泉街の灯が寂しくなった。」不安が残る造成地、温泉源との兼ね合い、ダム湖がない眺望、温泉街以外での生業を考えられるのか、将来設計を描くことができないままとのことでした。
 次の日は、吾妻川の水質に深く係る中和事業を行っている上流部にある湯川や谷沢川と品木ダムを見に行きました。(つづく)