東京初の遺伝子組み換え作物「屋外栽培実験」が見送り!

説明会で市民が遺伝子汚染の危惧を指摘

今年の5月12日〜8月末までを予定期間として附属多摩農場内にある模擬的環境試験圃場(屋外)において、東京大学大学院農学生命科学研究科ではトウモロコシのSPS(スクロースリン酸シンターゼ)遺伝子を導入したジャガイモについての栽培試験は、年内は作付けをしないことを明らかにしました。
大杉立東大教授(東大大学院農学生命科学研究科)は、都民に対して、4月27日、5月7日に説明会を開催致しましたが、この屋外への影響については、市民から「不安」が続出し、JAの組合長から「風評被害」についての疑問が出されなど、大学側は「栽培を延期する」といわざるを得ない状況となりました。結果として、都民の多くが疑問を残す説明会となり、リスクコミュ二ケーションが不十分であったといわざるを得ない状況でした。このようなことからも、大学側の延期の判断は必然であったと思います。

都と大学にリスクコミュニケーションを求める

これに先立ち、5月7日の説明会終了後、都議会生活者ネットワークは、国の対策が不十分であることを認めている都に対して、東大の屋外実験延期の対応を踏まえ、都民との充分な合意がなされるまで、実験を行わないよう強く指導すること、自治体として、都民の立場に立ち、都民との協議のあり方について、適切な指導を行うこと、国の対策の不十分性を踏まえ、汚染防止策など、都独自の指導を引き続き行うべきであることを石原慎太郎都知事に要請いたしました。
また、佐々木毅東京大学総長にも、遺伝子組み換え農作物については、多くの都民が食品として食べることに不安があることや、花粉が飛んで一般農作物との交雑・混入により、一般農作物の生産・販売に混乱が生じるなどの恐れがあり、大学としての社会的責任が問われることから、東大農学生命科学研究科附属農場における形質転換ジャガイモを用いた模擬的環境試験圃場(屋外)の栽培試験等については、実験延期の対応を踏まえ、中止を検討すること、都民との充分な合意がなされるまで、実験を行わないこと、都民との協議のあり方を、充分検討することを要請致しました。