多重債務問題からみえる格差社会

「生活サポート生協・東京」設立準備会、横沢善夫さんに聞く

 多重債務者を救済する生活相談事業を実施する「生協法人」をつくる動きが活発化しています。この日、「生活サポート生協・東京」設立準備会発起人のひとり、横沢善男さんを招き現状と課題解決に向けた活動について聞きました。
 事業認可には時間がかかることもあり、事業実績をつくることを優先し、この8月から電話相談を始めています。相談から、生活費や医療費のための借り入れが多い実態がみえてきたこと、過払い利息の返還請求によって正当な返済額にもどし、金利の低いところに借り換えるなど、救済のための具体的な手立てが早急に求められることなどが明らかになっています。ここで大事なことは、情報を提供するだけでなく一緒に行動することであり、相談事例から見えてくる「教育課程からの排除」「企業福祉からの排除」「家庭福祉からの排除」「公的福祉からの排除」の5つの排除を社会的問題ととらえ、解決に導かなければなりません。横沢さんは、多重債務の問題に市民の側から取り組む全国初の「岩手県消費者信用生活協同組合」を設立した実績がありますが、コミュニティの力が後退し、核家族化や独居がすすむ東京では、多重債務者への家族、親族からの支援が期待しにくいことが特徴であるといいます。
 貧困や生活苦を救済することを目的に、自立生活支援のための融資制度を行うグラミン銀行が大きく評価され、創設者で経済学者のムハマド・ユヌスさん(バングラデシュ)がノーベル平和賞を受賞しました。
 安易で過剰な貸付と高金利が多重債務者を生み出している日本の金融構造。貸金業規制法の改正で、消費者金融が設定しているグレーゾーン金利(出資法の上限金利29.2%と罰則のある利息制限法の上限金利20%の間の金利設定)がようやく是正される方向ですが、金利が下がれば当然、各社は信用リスクに見合うように貸付金を絞ることになります。
 200万人はいるといわれる多重債務者。今求められているのは、市民が市民を助けるしくみ「生活サポート生協」と低金利の貸金業「生活サポート基金」による、格差社会を是正しともに生きる公正な社会を実現するための試みです。「生活の安全」も助け合いによって求めていく、市民がつくるインフラのひとつとして注目される「生活サポート生協」「生活サポート基金」では、多数の賛同者を募っています。