東京都教育委員会教科書採択について

東京・生活者ネットワークの見解

 7月26日に開かれた東京都教育委員会で、「新しい歴史教科書をつくる会」が執筆した、歴史と公民の教科書を、一部の都立養護学校の中学部で採択する方針を決め、本日教育委員会が採択したとの発表がありました。公立では初めての採択が、非公開で開催される臨時都教委で決定されたのです。この教科書については、検定を通過したとはいえ、その歴史認識をめぐって、現実問題として韓国・中国との外交関係問題にまで発展するような内容であり、国内においても栃木県などにおいて無視できない大きな議論を呼び起こしました。こうした教科書を作成した「つくる会」は、全国で教科書採択に事実上教職員の意見を反映することを否定したりする一方、自ら作成したこの教科書を採択させるため、疑問を抱かざるをえないような宣伝活動や行政・議会への働きかけをしてきたと言われています。こうした教科書採択について、多くの地域の市民や教育関係者から疑問の声が寄せられており、生活者ネットワークは、この地域からの声が都教委に届くような取組みを行ってきました。しかし、予想される内外の混乱を敢えて選択した、都教委の姿勢については、大きな疑問を持たざるを得えず、遺憾の意を表明せざるを得ません。
 教科書選定についてはまず、子どもたちの状態にあったきめ細やか検討が必要であり、オープンな形で現場の教師や父母の意見を十分生かすべきであったと考えます。審議経過等についての十分な説明責任を果たすよう強く求めます。
以上