テロを生む構造を変えることが日本の役割

 去る9月11日、アメリカの民間航空横がテロリストによってハイジャックされ、ニュークの世界貿易センターと、首都ワシントン国防総省に相次いで突入し、おびただしい数の民間人の死と、都市機能の破壊をもたらしました。私たちは、このテロ行為を決して許すものでなく、怒りを禁じ得ません。犠牲者とその遺族・縁者の方々に深い哀悼の意を表し、傷ついた方々の回復を心から願うものです。
 しかし、このテロに対して、ブッシュ大統價とアメリカ放府は「戦争行為」と宣言し、世界中をまきこんだ「軍事報復」を行なおうとしています。世界は今なお民族や宗教の対立が続いていますが、国家を超えて人類の平和と共生が必要であり、世界を暴力と憎しみの果てしない応酬の連鎖にひき入れる報復戦争で、それは実現するものではありません。許しがたいテロ行為者は、国際法廷の場で犯罪者として裁かれるべきです。
 また私たちは、小泉首相と日本政府が新法の制定も視野に入れながら、後方支援と称して、自衛隊の派遺を決定しようとしていることに反対します。日米同盟を旗印に、議論を深めずに安易に軍事協力を続けることは、許すことができません。湾岸戦争時の轍を踏むまいとして、拙速な軍事支援を打ち出し「評価」を受けようとするのは、これからの国際社会での日本の位置を危うくするものと言わざるを得ません。むしろ米国と違い、中東に対し適切な距離を保っているという日本のポジションを有効に生かし、テロを生む構造自体を変えていく役割を担うべきです。

 東京・生活者ネットワークは、国家間の安全保障システムに替わる市民・自治体レベルの共生と、国家の枠組みを超えて協力し合うしくみが必要だと考えてきました。21世紀型の戦争といわれる今回の事態に対して「報復」に揺れるのではなく、私たちが持つ「憲法の理念」を国際社会に向けて説明することが必要であり、世界中の人々との平和な連携を追求すべきです。