急ぐべきはセーフティネットの確立−景気悪化の中、オリンピック招致など課題を抱えた予算案可決

 3月27日、2009年の都議会第1回定例会が閉会しました。

 一般会計をはじめとする今年度の予算案は、急激な景気の悪化で、税収回復の見通しが立たない中での予算となりました。
 都議会生活者ネットワークは、緊急の課題が多いことから賛成はしましたが、新銀行東京、築地市場の移転問題、オリンピック招致などの大きな課題を抱え、予断を許さない都政運営とならざるを得ません。

 温暖化対策、消費者行政の充実、未来ある子どもたちの教育など、都民の生活に根ざした課題が山積し、なかでもセーフティネットの確立は急務です。
 緊急雇用対策、中小企業支援で、仕事の場を確保するとともに、保育や教育の基盤整備を行ない、医療や介護、住まいなど、安心して生活できるための環境整備に、これまで以上に取り組むことを求めました。

 開会中に発生した群馬県の高齢者施設の火災は、他県に頼る都内自治体の高齢者施策の貧しさ、危うさを浮き彫りにしました。東京では、2025年までの20年間に高齢者が100万人以上増え、特に単身高齢者が急増するといわれています。高齢者が、地域社会で活き活きと暮らせる環境整備が、これまで以上に重要となります。

 生活者ネットが反対した議案と、その理由は次の通りです。

「安全・安心まちづくり条例の改正」
安心・安全を盾に規制強化につながるのではないかという都民の不安がある
繁華街の定義や迷惑とされる行為があいまいで、条例改正の必要性が認められない

「東京都立病院条例の改正」
小児医療の拠点の充実は重要だが、3病院(八王子小児病院、清瀬小児病院、梅が丘病院)廃止後の地域課題への住民不安の解消が不十分のままの提案は乱暴である

「都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例」
「新銀行東京を除外しない」「中小零細企業支援の効果も確認できない」などと説明が不充分で、新銀行東京の救済に新たな税金投入の道を開く危惧がある

「八王子市滝山町の土地の売払い」
資本金45万円の会社が29億円で落札するなど、市民感覚では理解できず、疑念を払拭できない
都民の財産である大規模都有地の売却は、売却後の用途が地域に大きな影響を与えるため、長期的、広域的視野で考慮されるべきものである

 これらの条例はいずれも、提案理由や目的があいまい、緊急性が認められない、行政側の都合が優先されるなど、都民の存在を忘れた今の都政運営の姿勢が垣間見られ、石原都政の限界を感じざるを得ません。

 また、一般質問や予算特別委員会では、共生の社会を確立するための障がい者差別禁止条例の制定や、都民意見を問うパブリックコメント制度の確立などを求めました。